右のwb(3~5)

Suite KooDoo
#08 〔右のwb/3〕

2013年2月13日 アドバンスクエスト(アド)実装

アドが始まるまでは、おれがメインとしている職はガンナーだった。

しかし、アドではガンナーはほぼ役立たずであった。(Sロールアップの実装はまだ随分先のことだ)

故におれは、この日から、Foをメインにし始めることとなった。

おれに職の拘りは無かったし、なにより、Rの火力となりたかった。役に立ちたかった。


Fo需要の多さから、ほどなく、 第二曲 靄(もや) を作った。

キャストでもFoできる世界ではありますが精神力の差は如何ともしがたいのだ


アドクエ実装前で既に、光導のレベルは全職ほぼ55となっていた。

(この頃のツィートより。 やってること。ハンター:CO消化(主に遺跡)、DF腕 ファイター:DF腕 Ra:DF腕、チョコ ガンナー:走破、FH、DF本体 フォース&テクター:マイザー、チョコ、市街地緊急) 


アドとDFと緊急で、Rのレベルもすぐ55となった。

レンジャーのサブとして必要なクラスのレベリングもほぼ、銃剣とブーケライフルで乗り切ってしまうその姿は、なかなか新鮮であった。

レベルを上げるのに、各職用の装備なんて必要ないんやな…w 

DF腕戦、11枚羽(黒羽とクラッドキャノン)で現れ、ロデオでテレポーターに突っ込み、ひとしきりランチャーぶっぱして、おもむろにブーケライフルを取り出しwbを装填した後、レスタとシフデバをかける・・・ふしぎなキャスト。

わたしのwb(テクター/レンジャー)の、数日前の思い出。(2013/3/8のツイートより) 



そうして主要職がレベル55となったRは、気が付くと走破演習ナベリウスⅡのソロTAをし始めていた。

ソロTAの動画を見て、自分もやりたくなったらしい。


・・・え?

それまで、TAのTの字すら言ってなかったRの突然の転向。

おれは、心底驚いた。


だって…おれは旧作のTAの世界からやってきたやつで、TAの世界から足を洗ったやつで。

この世界の走破は金稼ぎで、TAではないと、そう割りきりつつオーダーをこなしていたのに。


昔PSOチャレでTAやってた、なんて話は一言もしてないのに。


どうしてこうなった。どうして…こうなった?


単なる偶然なのか、それとも、自分の側に居る人間だからこそ、TAに行き着く属性を持っていたのか?


PPがーとか位置どりがーとか聞いていると、やっぱりそれはチャレのようで、ちゃんとTAしていて。なんだかすごくうれしいような悲しいような、複雑な気分だった。

Rのプレイ動画を見せて貰うと、自分がガンナーするよりも高いダメージを、ライフル装備したまま出していて、Guの無能っぷりをしみじみと感じた。

まだフューリースタンスが倍率でなかった頃で、レンジャー/ファイターで。

でもそれでもやっぱり、レンジャー/ファイターと比較してガンナーが秀でている所は無くなっていた。

おれが全然把握してなかっただけで、そんなものは最初からほぼ無かったのだろう。

"彼を護り、火力になる"なんて、己の只の驕りであった。

おれが馬鹿で、未熟なだけだった。

でも、それでも…それでも……おれはRと一緒に居たかったんだ。



#09 〔右のwb/4〕
2013年2月下旬

RがソロTAを詰めている姿をよく見るようになり、

一緒にやれるようなクエが無いのも相俟って、おれも誘うのを遠慮するようになり。

程なくしてRはリアルに還り始め、ほぼ週末しか来られず。


それまで毎日のように一緒していた人が、側に居ないということは、おれにとって、心底寂しいものであった。


一方、チームの人数は毎日のように増加していて、この頃はほぼ90人台。

チームメンバーは定員100名のため、その都度リダ(チームマスター)とその周りの人間で話し合いをし、来ていない人を外すようになっていった。

おれはずっとログインしているからか、質問に答える係だからか、チャット好きだからかよくわからないけれど、そういう話し合いでは必ず呼ばれるようになっていた。

多分、チームでは重要視されていたのだろう。孤独死しそうだけれども。

(チームルーム。トロフィーたくさん。)


10某はTPランキングだけはとんでもなく、毎月、2位以降に大差をつけて1位であった。過疎船だし。

でもまあ、本当にそれだけというか、本当にまったりというか。ランキング故に、色々と頑張っているチームと勘違いされ、入っては失望して去っていく人も何人か。

(そうなる前に拾うのが自分の役目ではあるのだが…絡みも無く去られては、為す術が無いのである) 

この頃が10某の黄金期だと言われるのを時々耳にする…気がする。


おれは毎日、チームの色々な人とチャットしたり、一緒にクエストしてはいた。

けれど、どうしても寂しかった。…寂しかった。


成長と強さを側で感じられるということ
そんな其方と共に戦えるということ
それがおれにとっての、一番の幸せ。


側に居られない時間が寂しい。
他に目を向けられない自分が悔しい。
おれのこの世界での、一番の悲しみ。


ここに眠るは、おれのたましい。
想いが朽ち果てるまで戦うしかなく
自分は、自分で救うしかない。


―その頃のおれのルームは、墓場のようなものだった。

想いを書き置いたウェルカムマットで、行き場の無い自分の気持ちを弔っていた。

ウェルカムマットは触れるたびに想いを発言し、おれはそれに応えて独り言を呟いていた。

…故に、部屋には常に鍵を掛けていた。


悲しいから、別の船か、別のチームに移籍しようと思っていた。

もっとガツガツ潜る所に居れば、孤独を感じる事もなかろう…と。

おれはとにかく、この状況から、逃げたかった。

※ウェルカムマット…主に入り口に敷くためのルームグッズ。その上を誰かが通ると、任意で設定した文章が発せられる。



#10 〔右のwb/5〕

アドがPSO2のメインコンテンツになるにしたがって、全くアドに適さないガンナーがメイン職の人間は悉くログインしなくなっていった。

Fo全盛の時代。Gu×の時代。

その中でたった一人だけ、メインがガンナーだったけれど、他職もし始めた人が居た。

Bさん、と呼んでおこう。

綺麗な退紅色の髪(と、リリーパスーツ)が印象的なキャスト♀。

Bさんは、1月からPSO2を始めたやや後発組で、最初は他のGu達とさほど変わらない感じではあった。

が、Foをし始めると、アドでの出入り口バーストを研究し始めたりと、センスが一気に爆発し始めた。

この頃のおれは、Bさんの高いモチベーションで、ギリギリ救われていた。

(Bさん、リダ、おれ)


2013年4月10日 レベルキャップ開放(lv60)

靄がメインとなったおれとBさん、そして、超火力となったレンジャー/ハンターであるR。

…アドのバーストなんて、適当にしても5分以上は余裕で継続するのである。

Rのレベルは、週末だけですぐに60になった。

一緒出来るのが幸せで嬉しくて、頑張れば頑張るほど、一緒に居られる時間が短くなっていく。

…レベルが再びカンストしてしまえば、Rはまた、ソロTAに戻ってしまうのである。

どうしてレベルって、あんなにあっさりカンストしちゃうんだろうなあ…。


「やつのサブHuも速攻60になりそうだな、どうしたらいいだろう」

『バースト時にタリスを壁に投げましょうか』

「おれはその隣で座っとくか」


Bさんとの会話。

…そんなことができたらいいのに、と笑いあう。

真面目ってのは、時々かなしい。


「おれは上手くなりたいわけでもなく、強くなりたいわけでもなく

良いタイムを出したいわけでもなく

ただ、おれを必要としてくれる人と出会いたいんだ」


深夜にBさんに呟いた、おれの願い。

―それは期せずして、ほんの僅かな間だけ、叶うこととなった。