君の速さは僕に似ている
PSOエミュレーター鯖、居酒屋。
そこの1Lには深夜から朝にかけて、一人のチャレ人が常駐している。
『ロビーの会話を眺めるのが好きなんだ』と言うその方は時々、物好きだったりS武器欲しかったりする普通の人達に、ガイドを請われてチャレをする。
私も時々、そういったチャレに参加させてもらったりしていた。
たまーに、うまくなりたいんですかとタイム短縮したいんです!とか3半欲しいんですなんていう人もいて、仲間が増えるのかなあとほんのり期待したりもしていた事もあったけれど、そこから進展することはほぼなく。
教えるだけ無駄ということがわかってからは、話半分で聞くようにしていた。
公式鯖が終了してもうすぐ5年。だからそんなもんだろう。
ただ、滅びるしかない。
自分自身もまた、とりあえず自分のよく使うキャラ達をTAで3切りさせてからは目標も無く
ぼんやりと惰性でチャレをしていた気がする。
…おわりのはじまりを感じながら。
彼と出会ったのは、そんな頃だった。
2012年1月
ガイドの方の所に、うまくなりたいという人がまたひとり現れていて、例によってひまだった私は、一緒にチャレをすることにしたんだった…と思う。
どうせまたいつものように、一過性のものなのだろうなあと思いつつ。
PSOのオンを始めて4ヶ月位、チャレを始めてまだ1ヶ月位らしい。
マップもスイッチも何も覚えていないらしく、頻繁に違う方に行くのを見た。
けれど、戦闘はちゃんとしていた。
大広間で人の後を着いてきたりせず、ちゃんと自分のレーダーで大物を発見し、向かっていく。レーダーの見方がちゃんとしているらしく、馬にひかれているのをほとんど見なかった。
あ、この人は他の人とは違う、と思った。
以降、暇な深夜早朝に、ちょくちょくと一緒にチャレしていた。
ふつうにやる分には十分にできてるんじゃ、と言っても不満そうだったので、二人でC2やった。
普通にクリアしてた。スケープドールもメイトも共に余り。なんかすごいな。
次にC9やった。余裕だった。むむっ
C5やっても一回も死ななかった。2pC5ってそんなに簡単だったっけ。
アに言ったら「47分なんて遅い」と言われた。いやいや、そこ狙ってなかったし。
C2罠無しでもひょいひょいクリアしてしまう。
たった一ヶ月でこんなにできるもんなのか。優秀だと思った。
段々と、どこまで教えていいのかわからないけれど、必要だと思われる事を教えていくようになった。
すると、ちゃんと教えられた事を実践しているのが見えた。
皿に反応しての氷罠を置けなかったのに、いつのまにか置けるようになっていたし
ダガー系武器も、コンボを教えただけで使いこなせるようになっていた。
目が離せなかった。
この人が一人前になったら、一体どれだけ凄い人になるのだろう?
それから半年近くずっと一緒にやっているけれど、上達具合が本当にすさまじい。
出会って一ヶ月ほどで、Ep1トータル3時間15分切り。
5月下旬に、C9で25分出して、3時間切り。もちろん今のご時勢なので、TAのみで。
現在は2時間57分12。私のquacesより早い…('A`)
海(E2C4)では1pを任せたら、4人でできない時は何時間も1pソロ部分を練習していた。
その結果、私たちより遥かに上手くなってた。
海を始めて半月ほどで、35分51。3ヶ月ぐらいで35切り。
Ep2トータル2時間切りまでは、あと4分ちょい。
4人揃わない時は、最近はEp2を2人でやってることが多い。
海は、初めて二人でクリアした時は一時間半だったのに、現在ベストは43分43。
管理は昨日、17分55だった。私とアが2pした時よりも早いタイムが出て、びっくりした。
武器も昨日はA55ブランド、アとの時はA65とかA50バスターだったんだけど…w
彼はチャレだけが上手くなりたい訳ではなく、良いタイムを出したい訳でもなく。
元々は、すもぐりが上手くなりたくてチャレを始めたそうだ。
今も毎日欠かさず昼間は独りでひたすら周回している。
彼のひたむきさと実力を見ていると、眩しい。
例えるならば、37人の絢爛舞踏の1人 “希望”。
絶大な適応能力と学習能力を持つ、最も新しい伝説。
他とは違うルーキーが、短期間で実力を得ている様を側で実感するのは
なんというか、RPGのサブキャラみたいな気分になってくる。
教える側だったのに、いつの間にかものすごく遠くにいかれているような。
自分の凄さが自分であまり解っていないのも、主人公らしいというかなんというか。
3日に1回ぐらいは『上手いってなんだろう?』と尋ねられる。
腕が無いから知識と場数だけでヒーヒーやってる(しかもその2つも他の人に比べたら大したことない)私に聞かれてもなあと、いつも思う。
その場その場で考えて答えても、実感を得られず、そしてまた尋ねられるのだけれども。
私が今もまだPSOを続けていられているのは、彼の存在であり、一緒にチャレしてくれる皆様の存在であり、彼と口論になった時にうまく仲をとりもってくれる方(いつも本当にすみません…)のお陰だなあ。
いつまで側に居られるかわからないけれど、その一瞬一瞬を大事にできたらいいな。
♪ 君は僕に似ている(See-Saw)
原題:君は僕に似ているⅡ
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