タイムリミット~Eden

2006年も終わりに近づいてきた頃。

あたしたちは、共に住むための物件を探し始めていた。


アが本気になってた

夜勤でヘトヘトになった後に物件見に行ったりしてくれてた。

物件見に行ったあとにご両親に話して、一生懸命説得してくれて。

本当に本当にすごくて。

初めて会った時からは全く想像もできない、頼もしいアの姿。


……色々話して説得して、やっとOK貰ったのに、どうしても限られた日しか下見に言ったり話したりできないから切ないことも多々あった。

下見しようとしたら先に下見されて取られたり…下見した物件は次の日他の人に横取りされたり…

でも、根気良くアは物件を探し続けてくれた。

年明けくらいには一緒に住みたいねと、言ってくれた。


そんなある日のことだった。

いつものようにGCを立ち上げてオンしようとすると

最初の画面に違う文章が表示されていた。

このたび、2007年3月31日(土)をもちまして
ドリームキャスト版「PHANTASY STAR ONLINE」「PHANTASY STAR ONLINE ver.2」及び
ゲームキューブ版「PHANTASY STAR ONLINE EPISODE I&II(Ver1.1)」

「PHANTASY STAR ONLINVE EPISODEⅠ&Ⅱ Plus」「PHANTASY STAR ONLINE EPISODE III C.A.R.D. Revolution」に限り、 そのネットワークサービス(全世界)を終了させていただくことを決定いたしました。


とうとう、カウントダウンが始まった。

…あたしたちは一緒に住むのを、ラグオルが終わった後へと延ばすことにした。

限られたチャレンジの時間を無駄にしたくなかった。


年が明けて、2007年。

寝る暇を惜しんでチャレをしつつ、再びアの物件探しが始まった。

家賃が安い、且つ駐車場有り

周囲の環境が静かで(なんかアが眠れないらしい)

戸建かテラスハウス(音ゲーとか…とか…)

そして出来れば、お風呂が広い部屋。

古くても辺鄙な場所でも構わないんだ。

ただあたしたちは、ふたりで居られる場所が欲しくて。

側に居たい、ただそれだけで。


『夢と現実が逆転する日を目指して、頑張るよ』

電話口のアの声を、こんなにも頼もしいと思ったことはなかった。

(直後『あ、今俺いいこと言った』とか言っててやっぱりアだった)


そうして辿り着いた地は、姫路の端っこ。

古いけれど、全面リフォーム済みの平屋。駐車場も2台分ある。

間取りが変なのと場所が辺鄙だということで最初、アの母親は反対した。

そこでアは母親に、GoogleEarthを動かして

あたしの家とその周辺の航空写真を見せて

『彼女は現在こんなに辺鄙な所に住んでいるから大丈夫だ』

と言ったらしい・・・・・

そしてそれで一応納得してくれたらしい。

ま、まあね…その通りだけどね…

どうせ徒歩圏内には何にもないよ><

コンビニ行くにも車っ><

けれど、つまり、アのおかあさんは、

あたしのことを思って反対してくれたのだね。

そう気づいたとたん、思わず、涙を零してしまった。


頭の中で、TЁЯRAの”Eden”が流れてた。

福岡は本当に住んでて楽園のような場所で

食べ物おいしいし温泉にも入りにいけるし

素敵な景色もあるし、いろんな商業施設あるし

…本当に大好きで大好きで離れたくないけれど

でも、あたしのEdenは、アのそばなんだ。


2月の末。

ラグオルの終末まで、あと40日だった。


―♪EDEN(TЁЯRA)